music dance poetry arts and philosophy
学園坂出版局よりお知らせ
・映画監督・坂上香さんの講演会「対話するってどういうこと?」を開催します。(8/22更新)
・ユリコさんのエッセイ風論考「家族について考える」6を公開しました。(11/21更新)
・2023年12月1日、小笠原もずくバンドライブを開催します。(11/11更新)
・2022年9月10日『生かされる場所』のCD発売記念ライブが開催されます。詳細はこちらをご覧ください。(8/5更新)
・「思想ゼミ」宇野邦一さんの連続講座を「器官なき身体と芸術」vol.15(2022年2月)でいったん終了します。アーカイブ視聴のお申し込みは受付中です。(3/13更新)
ホメロスに文学の基層を知る
講師:土岐健治
Ancient greek
Homer
Literature
開講にあたって
入門クラス:
最古のギリシャ語文学であるホメロスの『イリアス』第一巻の原典を読みながら、古代ギリシャ語の文法を一から学びます。古代ギリシャ語にはじめて触れる方を念頭に、アルファベットの読み方や書き方から始めます。原文は韻文(詩文)で、吟遊詩人などにより歌として伝えられていました。ギターの先祖のような楽器を用いて、「弾き語り」の形で演奏され(広められ)たものです。3週間ほどで、『イリアス』冒頭の段落を暗唱できるようになります。毎月偶数週の午前10時30分〜12時(11月開始予定)。
見慣れない(耳慣れない)「古代ギリシャ語」については、土岐健治『新約聖書ギリシア語初歩』(教文館)の「はしがき」をご覧ください。これは「古代ギリシャ語」文献を読むための「初級文法書」です。参加者は上記拙著(または玉川直重著土岐健治監修『新約聖書ギリシア語独習』キリスト新聞社)を各自でご用意ください。希望者には拙著の「はしがき」のコピーをお渡しします。ごく短く要点を紹介します。
古代ギリシャ語入門 概要
・入門クラス
毎月隔週月曜日 10時30分〜12時
原則として第2・4週の開講です
・アドバンスクラス
毎月隔週月曜日 10時30分〜12時
原則として第1・3週の開講です。
参加費(1回)2000円
定員 10名程度
2020年12月現在、コロナ禍の影響により、クラスは一時中断しています。なお、今のところ、zoomによる個人レッスンのみ開講しています。詳細につきましてはお問い合わせください。
(会場の都合等で日程・場所が変動することがあります。初めてのご参加の方は、必ず電話やメールでご確認ください)
このクラスに参加することによって、古代ギリシャ語を読むことがいかに難しいか、それはほとんど不可能に近いことが、よく分かるはずです。私自身、このことが、最近になって、ようやく身に沁みで分かるようになりました。どこまで分かるのか、どこからが分からないのか、ご一緒に見てゆきたいと思います。多くの英語の語源は(ラテン語やフランス語を経て)古代ギリシャ語にさかのぼります。アトム、プラスチック、プラズマ、イオン、スクール、デルタ、ポリス、デモクラシー、ビデオ、ペイパーpaperなど、枚挙にいとまがありません。
そして、「台風」(ギリシャ語=英語=typhoon)や「名前」(英語=name、ギリシャ語=onoma、ラテン語=nomen)「コスモス」「アネモネ」「テレフォン」などのように、ほとんどそのままで日本語として定着しているものも、少なくありません。楽しい苦労が、キーワードです。
2019年9月25日
アドバンスクラス:
主に新約聖書のギリシャ語原典を読みます。参加者との話し合いによって、古代ユダヤ教ギリシャ語文献から、テキストを選ぶことも考えています。古代ギリシャ語の初級文法を終えた方を対象とするクラスですが、初級文法を学んでいない方の参加も受け付けます。未修者は並行して初級文法を学んでください。そのお手伝いは可能な範囲でするつもりです。毎月奇数週の午前10時30分〜12時(11月開始予定)。
土岐健治 TOKI Kenji
古代ギリシャ語(文法)とは、紀元前8世紀のホメロスにはじまり、紀元後3(4)世紀ころの古代キリスト教文献までの、ギリシャ語(文法)の総称です。ホメロス(ほめたりけなしたりする)、ヘロドトス、ギリシャ悲劇、ギリシャ喜劇、(豊洲ならぬ)ツキジデス、プラトン、アリストテレス(アリストス=best、アリステロス=bester? テロス=end,completion)、古代ユダヤ教ギリシャ語文献、新約聖書、古代キリスト教ギリシャ語文献などのギリシャ語は、それぞれ少しづつ違っています。それらのいずれかを読むための初歩文法を学んでも、それだけでは他のものを読むことは(非常に)困難です。近現代英語(文法)を学んでも、シェイクスピアはなかなか読めない(難しい)のと同じです。
1945年生まれ。一橋大学名誉教授。名古屋市生まれ。名古屋高校卒業。東京神学大学卒業。東京大学大学院西洋古典学専門課程博士課程中退。
近著:
ヨナのしるし―旧約聖書と新約聖書を結ぶもの(一麦出版社 2015)
七十人訳聖書入門 (教文館 2015)
死海写本 「最古の聖書」を読む
(講談社学術文庫 2015)
ほか
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『ヘロドトスの歴史叙述における予言の役割』(※リンクをご覧ください)について
土岐健治
加納哲夫さんは、学園坂スタジオで数年前からはじまった古代ギリシャ語のクラスに、最初から参加した数名の中のお一人です。クラス開始後、しだいにコロナ感染症の流行がひどくなり、リモートによるクラスの試行を含む紆余曲折をへて、1年ほど前から規模を縮小しての対面クラスに戻って、今日(2022年7月)に至っています。
加納さんは当初から今日まで積極的かつ熱心に「出席」を続けている、唯一の(貴重な)「生徒」です。思い返せば、さまざまな形で50年を越えることになった私の古代ギリシャ語を「教えながら学ぶ」経験の(歴史の)中でも、このような「生徒」さんとの共同学習の継続は、希有な体験です。
加納さんが会社を定年退職後、東洋大学の大学院に入学(入院?)して、ヘロドトスについての修士論文をまとめ、博士課程に進学したことは以前から聞いていましたが、1年ほど前に(遅ればせながら)修士論文の実物を読ませていただき、その独自性 originality と高レヴェルの学術性に、深い感銘を受けました。素人学問の真骨頂ここにあり。
この修士論文が説得的に明らかにしている、ヘロドトスの Historiai(Historiae)の中に認められる予言や神託 prophecies and oracles の特徴は、そのまま古代イスラエル(旧約聖書)の預言の特徴と、みごとに一致していることに、驚嘆を禁じえません。この研究成果に満腔の敬意を表し、たとえその数は少なくとも心ある読者を見出すことを強く願いかつ確信しています。